加速のトルク感の話
みなさん、こんばんは。昨日の記事の中で、トルク感という言葉を使いましたが、トルクという言葉は使っていません。なぜなら、トルクというのはエンジンの性格の話であって、加速とはほぼ関係がないからです。
そもそもトルクと馬力の違いとはなにか
「この車は低速トルクがあるから出足がいい!」とか「馬力型だから加速感が薄い…。」とか、結構好き勝手にこんな言葉を使いますよねw
じゃあトルクとはなんですか…?説明できますか…?
まあそれぞれ考えがあると思いますが、馬力とトルクは数式で表されます。
これが全てです。変形して、
という形にすると、わかると思います。つまり、エンジンの爆発1回あたりに取り出せるエネルギーの量を表したものがトルクです。
みなさんは、エンジンの爆発1回あたりのエネルギーが大きいことを指して、トルクがあると言っているわけですね!
…もちろん嘘ですよ?
ではトルク感とは
加速感のことです。以上!
「でも馬力型エンジンだと加速感が薄くて、トルク型エンジンだと加速感がある!」っていう人いると思います。
そもそもトルク型エンジンというのは、低回転から大きなトルクが発生します。馬力はトルクと回転数の積ですから、これはつまり低回転でもしっかりと馬力があるということです。
それに対して、馬力型エンジンは、低回転ではトルクが小さいです。つまり、低回転では馬力が比較的に発生していないということになります。
ここまではいいですか?低回転で馬力が出るのがトルク型ということを抑えてくださいね。
ではなぜ馬力型エンジンが高回転しているときに加速感がないのか。まず、そのときには速度が出ていることを考えてみてください。
10km/hから20km/hに加速するのに必要なエネルギーと100km/hから110km/hに加速するのに必要なエネルギーが異なるためです。
運動エネルギーは速度v、重さmを使って、1/2 × mv^2となりますから、10km/hから20km/hになるのに必要なエネルギーは150mとなります。それに対して100km/hから110km/hになるのに必要なエネルギーは1050mとなります。7倍のエネルギーが必要なんですね。
つまり、同じ加速感を得るには、速度が上がることによる様々な抵抗を抜いたとしても7倍の馬力が必要なんです。馬力型だと言ってもトルク型に比べて7倍の馬力を出すことはできません。だから、トルク型のほうが加速感があるんですね。
馬力型は発進加速が遅いのか
AT車だとそうですが、MT車だと回転数を上げてからつなぐっていう必殺技がありますよね。やりすぎるとクラッチが焼けますが…。うまく発進できるとトルク型以上の加速をします。
つまり、加速性能を決めているのは馬力であってトルクじゃないです。
さらに馬力が上がって、タイヤが空転するレベルになると、加速性能を決めるのはタイヤと路面の摩擦力へと変わっていきます。馬力もトルクも関係なくなるわけですね。
何が言いたいかというと、トルクとは低速の馬力を指しているわけです。トルク感とかそういう言葉ならいいですが、トルクなんて言葉はやめましょう。誤解の元です。