グロムとFZ6と

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馬力と速さは直結しないよって話(バイク編)

 みなさん、こんばんは!

 

 道の駅とかでたまにこんな人いませんか?

 

 「600SSはトルクがないからリッターネイキッドの方が速い」

 

 「アメリカンは重いから400CCの方が速い」

 

 さて、実際のところどうなのかってのを考えられるようになりましょう。

 

 

 

そもそも速さとか何か

 速さについて、人それぞれ想像する意味があると思います。

 

 ですが今回は加速と最高速、そこからサーキットでの立ち上がりについて考えていこうと思います。

 

 例えば、現在時速100km/hで走行しているとします。

 

 この時速100km/hというのは、バイクのどういった出力の結果なのでしょうか。

 

 エンジンが馬力を発揮して、フロントスプロケットを回して、チェーンを通じて、リアスプロケットを回転させる。

 

 その結果、リアホイールが回転し、タイヤが地面を蹴って前に進む。

 

 つまり、速さはエンジン出力の結果ということはもちろん、想像がつくと思います。

 

 では、エンジン出力(=馬力)と速さはどのような関係にあるのでしょうか。

 

 これが加速と最高速を決定する鍵となります。

 

 

馬力と加速の関係

 端的にいうと、馬力から抵抗を引き、を時間で積分したものをm/2で割り、その平方根をとったものが速さとなります。

 

 最近エンジン出力をワットで表すこと増えてきましたよね?

 

 FZ6は98psですが、ワットで表すと72kwになるようです。

 

 つまり、馬力っていうのは仕事率なんですねー。ですから馬力を発揮した時間を掛けると、エネルギーであるジュール[J]やカロリー[cal]と換算できます。

 

 で、例えば運動エネルギーもJで表すことができます。

 

質量[kg] × 速さ[m/s] / 2 = 運動エネルギー[J]

 

 例えば、200kgのバイクが108km/hで動いているとき、運動エネルギーは90000Jです。

 

 つまり、90kJですね。

 

 ちなみに、重さが1.5倍になったら必要なエネルギーも1.5倍になり、加速が2/3倍になる点は注意してください。

 

 ここで、馬力が72kWであるということは、1秒で72kWs、つまり72kJを発生できるということであり、0-108kmは約1.3秒となりますw

 

 実際とずれていますよね?w

 

 72kWで加速するって12000rpmでクラッチ一気につないで、タイヤが滑らず、ウィリーしないってことですからねw無理ですw

 

 馬力が一定とすると運動エネルギーと馬力の関係は分かりやすい下の図になります。


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 この馬力と時間に囲まれた赤の斜線部分の面積が運動エネルギーとなります。

 

 これを質量[m]で割ったものが速さです。

 

 言い換えれば、質量が一定なら、斜線部分の面積が大きいほど速いです。

 

 そして、面積の増えていくスピードを質量[m]で割ったものが加速度ですね。

 

 面積が増えていくスピードとは図の面積を時間で割ったもので馬力に等しいことを鑑みると、馬力/質量がそのまま加速度です。

 

 では馬力が一定でないとするとどうなるか、というのが下の図です。


f:id:Lily_of_Water:20191124192721j:image

 

 同様に面積なのですが、直線的ではないので、簡単には面積が求まりません。

 

 ここで積分を使うと面積を求めることができます。

 

 まあ、積分はめんどくさいので、さっきの面積の半分とすると、FZ6の0-108km/hは約2.6秒となります。

 

 ウィリーとかタイヤのグリップを考えるともう少し遅くなりますが、公式の0-100km/hは2.9秒らしいので、それほどずれていないでしょう。

 

 まとめると、簡易的には

 

 発揮した馬力 × その時間 / 質量が速さ

 

 発揮している馬力 / 質量が加速度となります。

 

 ではリッターネイキッドが100ps/7000rpmで600SSが120ps/13000rpmとすると、下の図のような出力です。


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 まず回転数をあげてからクラッチをつないだら、リッターネイキッドでは600SSに勝ち目はないです。

 

 低回転ではリッターネイキッドの方が倍くらいの馬力が出ているので、巡航回転からの加速はリッターネイキッドの方があるとは思います。

 

 まあ、ギア比にもよります。

 

 リッターネイキッドが70km/7000rpm、600SSが100km/12000rpmだとすると、600SSは58km/7000rpmなので、ギア比が小さいですね。

 

 そこと重量を考慮すると、クラッチを煽らないゼロからの加速でも、リッターネイキッドは600SSが6000rpmあたりから既に加速で負けはじめて、9000rpmでは抜かれるって感じだと推測できますね。

 

 だいたい80km/hくらいかなー?

 

 逆に80km/hまでならリッターネイキッドが速いですね!

 

 リッターネイキッドの方が実用域での加速は上で、600SSは高速道路とかサーキットで速い感じになりますね。

 

 こうやって考えてみると、より自分の用途にあったバイクを選べますね!

 

 

馬力と最高速の関係

 では最高速はどうやって決定されるでしょうか。

 

 馬力と空気抵抗+駆動抵抗が釣り合ったところが最高速になります。

 

 イメージしてほしいのは、バイクを押す力とバイクが押す力です。

 

 これが釣り合ってないと加速、減速します。

 

 例えば、蜂蜜のなかに鉄球を落とすところを想像しましょう。

 

 重力にしたがって加速していきますが、あるところで一定の速度となります。

 

 これは重力とその速度での蜂蜜から受ける抵抗が釣り合った結果、一定の速度となるわけです。

 

 つまり、進行方向の力と進行方向の逆向きの力が釣り合ったときの速度が最高速となります。

 

 バイクやクルマでいうと進行方向の力は馬力です。

 

 進行方向と逆向きの力は駆動抵抗や空気抵抗などになります。

 

 まあ馬力は駆動抵抗を除いたもの(後軸出力)とすると、最高速は馬力と空気抵抗の大きさによるわけですね。

 

 ここで注目したいのは重量にはよらないということですね。

 

 つまり、400ccで53馬力のバイクより1000cc70馬力のアメリカンバイクの方が最高速が低いということはほとんど起こらないということですね。

 

 もちろん、17馬力の差を埋めるほどに空気抵抗が違えば逆転しますがね。

 

 

サーキットでの速さについて

 ここまでをまとめると、基本的に馬力が大きいほど加速も最高速も良くて、速いようなイメージがすると思います。

 

 では、例えばYZF-R6(118ps)はCB1300SF(101ps)よりもサーキットで速いかというと答えはだいたいの人にとってはNoです。

 

 だいたいの人っていうのはサーキットは走ったことがないか1回くらいの人のイメージでねw

 

 普段もそんなスポーツ走行はしないが、たまに峠を流すくらいのイメージかな。

 

 そういう想定の上で考えていきましょう!

 

 まず最高速はR6が上です。でもこれってほとんどの人には意味がないんです。

 

 ミニサーキットくらいまでだったら最高速なんて使いませんからね。

 

 で、次に加速ですが、これもだいたいの人はホームストレートでしか意味がないかな…

 

 R6は118ps/14500rpmですw

 

 ミニサーキットくらいの大きさで、どれだけの人がパワーバンド使えるでしょうかね?

 

 スプロケットの丁数変更をしないと難しいですが、丁数変更する人は一般的には稀ですw

 

 サーキットを走る人はよくやりますけどねw

 

 そして超がつくほどの高回転型ですから、低回転では驚くほどおとなしいですw

 

 そうすると、だいたいの人は立ち上がりで加速が鈍くなります。

 

 対してCB1300SFは101ps/7000rpmです。

 

 高回転型ではありませんから、回転数が下の方にも十分な馬力が発生します。

 

 つまり、パワーバンドとか考えなくても、ある程度の馬力で立ち上がれるわけです。

 

 そしてだいたいの人は車体の差が出るほどフルブレーキできないし、フルバンクも出来ません。

 

 ここで、ホームストレートが短いようなコースだと、CB1300SFの方が速いってことはよく起きるでしょうね。

 

 まあサーキットをよく走るレベルの人だとR6の方が速いです。サスペンションとかバンク角とか全然違いますからねw

 

 何が言いたいかというと、最高出力の馬力だけではなんともいえないってことですよ!

 

 結構、最高出力をさして速いだの遅いだのいってる人がいますが、あんまり意味ないです。

 

 高回転型では扱いが難しくなるし、コーナーで立ち上がり始める瞬間に最高出力は出せませんから。

 

 高回転型でなければ扱いが簡単ですから、あまりスポーツ走行をしない人には高回転型でない方が速く走れます。

 

 その最高出力でないときの馬力やそれを扱えるかまで考えなくてはサーキットの速さは語れないです。

 

 というか、サーキットは速い人が速いですねw