ライン取りって結果であって目的ではないよって話
みなさん、こんばんは!
ライン取りの基本はアウトインアウトですね。それはそうなんですけど、アウトインアウトしたからと言って速く走れるわけではないです。
守破離という概念がありますが、これはまあ…
守:教えを守る
破:教えを破っていく
離:教えを作っていく
ということなんですね。守ることによって基本ができるようになります。それができるようになると、基本を分析して基本の欠点を見つけていきます。その後に、基本にとらわれず、新しい基本を作っていくことができるようになるというわけです。
これってどんどん基本をおろそかにしているように感じるかもしれませんが、私が思うにこれはむしろ積極的に基本にかえっているのです。
基本の型と真摯に向き合い続けるとどうしてもその欠点が気になったり、どうしてそれが基本になっているのかわからなくなったりするものなんだと思います。(破)
その結果、その欠点を改善した新しい型を作ったり、より合理的な新しい型を作ったりしていくわけですね。(離)
ライン取りのアウトインアウトは確かに基本なんですが、必ずしも速いわけではないです。そういうとこを知ると、アウトインアウトにとらわれないでラインを考えることができます。特に馬力の大きいバイクではこれは重要です。
極端な例
では、下の図を見てください。この黒線のコースで、赤色(R)のラインと緑色(G)のラインと青色(B)のラインのどれが一番SからGへ行けるでしょうか。
正解は…わかりません!wこれが正解なんですね。前提条件があまりに足りないんです。
例えば道幅が極端に広い場合やタイヤのグリップがとても大きい場合で車両の最高速度でここのコーナーを曲がれるとき、Rラインが最速です。速度は最高速度で、走行距離が最も短いですからね。
タイヤのグリップは普通でも、車両が全然加速しない場合はGラインが最速です。馬力の小さい車両はこのラインが基本ですね。旋回速度が重要ですから。ある意味、正確なアウトインアウトです。
タイヤのグリップが低く、コーナーを曲がるためにかなり速度を落とす必要があって、しかもアクセルオンで強いプッシングアンダーが出たり、駆動輪が滑ったりして加速できない場合はBラインが最速です。馬力の大きな車両や4WDはこのラインが速いことが多いです。
極端すぎると思われるかもしれません。ただ、条件によってラインというのは変化して、アウトインアウトは最速ではないということがあるってことを捉えてほしいです。
ラインは目的の結果できるもの
では先程のコーナーではGラインが最速だった車両を想定して、G地点から先のコースについても考えていきましょう。
見にくいと思いますがw緑色(G)ラインと赤色(R)ラインがあります。
先程のコーナーはその後のコースを考えていませんでしたが、その後にホームストレートがあるとしましょう。まあ、富士スピートウェイの最終コーナーとかは近い形ですね。
そうすると、Gラインは旋回速度を大きくするために早い段階でアウトぎりぎりについてしまいます。すると、アクセルが開けられないので、先程のG地点までは速くても、後のストレートは遅くなります。
対してRラインは旋回速度は小さいですが、アウト側に余裕があるのでアクセルをガンガン開けて行けて、ストレートでは速くなります。
で、こんなふうに極端にストレートが長いとGライン走行車両をRライン走行車両が抜く感じになります。
Gラインはコーナリング重視のライン、Rラインを立ち上がり重視のラインといいますが、どちらがいいかは車両、コースによって変わります。
また、馬力の大きな車両が立ち上がり重視のラインが多いのは、先のストレートが短くても、旋回速度<加速となるためです。
ラインの組み立て
というわけで、アウトインアウトは基本であって絶対ではないことがご理解いただけたでしょうか。
この他にもS字コーナーでは真ん中につくんだとか、複合コーナーではそれを一つのコーナーとして処理するんだとかいろいろありますね。
こういうのは全て基本です。絶対じゃないです。
旋回速度とその後の立ち上がりを考えて、コース全体でどういうラインで走るか組み立てていくんですよ。
例えばS字コーナーの後に長いストレートがあれば、最初のコーナーを速度を落として、次のコーナーのRを大きく取り、加速をしっかりするほうが速いことがありますし。
逆にいくら加速が速い車でも、ヘアピンの直後にきついコーナーがあるのにも関わらず立ち上がり重視でヘアピンを曲がるのは速くないんじゃないだろうかってこともあります。
あくまで走行するコース全体で考えないと意味がないんです。
だからアウトインアウトしたら速く走れるんじゃなくて、速く走ろうとした結果アウトインアウトになることが多いだけなんです。
S字コーナーや複合コーナーの定石も、それを守った結果速く走れるんじゃなくて、早く走ろうと結果そうなることが多いだけの話です。
そうやって考えていくと、サーキットは複数のコーナーから成り立っているんじゃなくて、一つの巨大な複合コーナーなんです。
こんな風に考えると、ライン取りに新たな発見があるかもしれませんね。